分子のモデリングや計算結果を可視化できるWebアプリを見つけました。
モデリングやデータの可視化ができるインストール不要のWebアプリで、無料で使えるようです。ということで今回はこのForblaze Molについて解説します。
できること
Forblaze Molはインストール不要のWebアプリで、無料で使うことができます。そして生成データや読み込ませるデータはサーバにアップロードされません。ブラウザ上のWebアプリはローカルPC上で動き、データもローカルPC上に保持されるだけです。

アプリの機能は大きく2つ、モデリング機能と可視化・解析機能に分けられます。
- モデリング
- SMILESから分子の3次元構造を作って可視化。
- SMILESから分子のバルクのユニットセルを作って可視化。
- SMILESからポリマーのユニットセルを作って可視化。
- ポリマーはアイソタクティック・シンジオタクティック・アタクティックの指定が可能。
- ユニットセル作成時には電気陰性度に基づく電荷とUFF力場による構造緩和。
- molファイルエクスポート。
- mol2ファイルエクスポート(ユニットセル対応)。
- GLBファイルエクスポート(3Dデータ。PowerPointで読めるらしい)。
- 可視化・解析
- LAMMPSのdump, data, log, inファイルの読み込みと可視化。
- Quantum ESPRESSOのoutファイルの可視化。
- Gromacsのgroファイルの可視化。マルチフレームgroも対応。
- その他、MOPAC、GAMESS、MXDORTO、VASP、CP2Kなどにも対応。
- 可視化したものをmolやmol2やGLBでエクスポート。
- MD解析(二体相関関数と平均二乗変位)
- MDログのグラフ表示とcsvエクスポート。
- 10万原子規模のモデル表示とアニメーション再生。
なかなか本格的な機能が揃っていますが、これがインストールせずにブラウザ上で使えます。
データ可視化の例
エタノール100分子のユニットセルを作ってみます。
まずはDesignのModeをSystem (Bulk/Cell)に切り替えてSystem Builderボタンを押します。

次にTarget Density(密度)を0.789として、Add New CompoundでEthanol CCO 100個を入力します。分子はSMILESで表記しますので、エタノールはCCOです。複雑な分子を描画したい場合はGoogleで検索してSMILESを調べましょう。このアプリのSMILES入力欄にはペーストボタンもあります。

Build Systemボタンを押すとUFF Relaxationの計算が動き始めます。1000ステップの上限を設定していましたが、314ステップで収束しました。問題なければこのままUse This Structureをクリックします。

作成したユニットセルが表示されます。分子同士は重なり合うことなく配置されています。また、ViewメニューでWrap表示(周期境界条件を考慮する表示)のON/OFFが設定できます。

この画面では、左右クリックとスクロールで視点操作ができ、Rキーで視点リセットができます。
あとはFileメニューでエクスポート(ブラウザのダウンロード機能で保存)ができます。mol2ファイルの場合、残基名・部分電荷・結合データ・ユニットセルデータもしっかり入っています。
@<TRIPOS>MOLECULE
Interrupted Build
900 800 1 0 0
SMALL
USER_CHARGES
@<TRIPOS>ATOM
1 C1 17.8740 9.3810 12.1746 C 1 ETHANOL -0.061882
2 C2 17.0973 9.0918 13.4850 C 1 ETHANOL -0.089257
3 O3 15.7860 8.6447 13.1775 O 1 ETHANOL -0.593952
4 H4 17.3329 10.1766 11.5844 H 1 ETHANOL 0.043041
5 H5 18.9164 9.7388 12.4211 H 1 ETHANOL 0.043041
6 H6 17.9370 8.4342 11.5654 H 1 ETHANOL 0.043041
7 H7 17.0346 10.0330 14.0997 H 1 ETHANOL 0.119363
8 H8 17.6370 8.2919 14.0646 H 1 ETHANOL 0.119363
9 H9 15.3048 8.4057 14.0245 H 1 ETHANOL 0.377243
10 C10 13.2702 11.3425 13.3900 C 2 ETHANOL -0.061882
11 C11 12.2846 12.4851 13.0501 C 2 ETHANOL -0.089257
12 O12 12.9716 13.5321 12.3855 O 2 ETHANOL -0.593952
:
:
900 H900 11.3025 14.0185 2.8230 H 100 ETHANOL 0.377243
@<TRIPOS>BOND
1 1 2 1
2 2 3 1
3 1 4 1
4 1 5 1
5 1 6 1
:
:
799 893 899 1
800 894 900 1
@<TRIPOS>CRYSIN
21.3236 21.3236 21.3236 90.0000 90.0000 90.0000 1 1
描画品質
Single Moleculeモードでエタノール分子を描いてみました。

ViewメニューのSettingsで最高品質設定にしたものがこちらです。まあまあ綺麗ですね。
次はポリスチレン(SMILES: *CC(*)c1ccccc1 )のシンジオタクティックです。フェニル基のユニットごとに鏡像関係になっているようです。

ポリマーのモデリングは普通は結構難しいのですが、SMILESさえ書ければこのアプリで簡単に作ることができます。
タイトル画面のTry Demoでは描画のテストができます。こちらは10万原子規模ですが、この規模ならノートPCでもかろうじて操作ができます。(100万原子はかなり無理がありました)

まとめ
Forblaze Molは無料のブラウザアプリとしては非常に高性能・高機能なアプリです。インストールしないと使えないソフトや高額な商用ソフトも多いなか、これをブラウザで無料で使えるというのはとてもありがたいです。
コメント