様々な第一原理計算ができるオープンソースソフトウェア、Quantum ESPRESSO(QE)をWindowsで動かす方法を紹介します。手軽に始めたいならビルド済みのWindows版、使うバージョンやビルド環境を管理したいならwslc、Linux環境で直接使いたいならWSLが選択肢です。
ビルド済みのWindows版を使う
QMatSuiteから入手する(おすすめ)
まず試すなら、ビルド済みのWindows用実行ファイルを使う方法が簡単です。QMatSuiteから、Intel oneAPI HPC・MKL・MS-MPIでビルドされたQuantum ESPRESSO 7.5の実行ファイルを入手する手順を、以下の記事で紹介しています。自分でQEをビルドする必要はありません。
実行ファイルのあるフォルダをPATHに追加して使う場合は、Windows 11でのPathの通し方も参考にしてください。
Windows用のコンパイラで自分でビルドする
Windowsネイティブでソースからビルドする方法もありますが、コンパイラやライブラリの設定が必要です。まずQEを動かすことが目的なら、ビルド済みの実行ファイルを使うか、次のwslc・WSLを選ぶ方が取り組みやすいでしょう。
wslcでコンテナーを使う
Windows 11のwslcを使えば、Docker DesktopなしでQEのCPU版コンテナーをビルド・実行できます。wslcはWSLを利用する仕組みなので、WSLと無関係な別方式ではありません。
使用するQEのバージョンとビルド環境をDockerfileで指定し、できたイメージを再利用できるのが利点です。Ubuntuのaptで提供される版より新しいQEや、目的に合わせて選んだ版を使いたい場合に向いています。紹介しているmake allの構成では、pw.xだけでなくcp.xなど、make allの対象となる実行ファイルもビルドします。
一方で、Dockerfile、イメージ、フォルダのマウントといったコンテナーの基本を理解する必要があり、導入や操作はWSLのaptより複雑です。具体的な手順は以下の記事を参照してください。
WSLでLinux版を使う
Linuxのコマンド操作に慣れているなら、WSL上でQEを直接使う方法もあります。導入の簡単なaptと、バージョンやビルド内容を自分で選べるソースビルドは分けて考えると選びやすくなります。
aptでインストールする
UbuntuのWSL環境では、次のコマンドでQEをインストールできます。
sudo apt update
sudo apt install quantum-espresso
手軽に導入できますが、利用できるQEのバージョンはUbuntuのリポジトリに依存します。以前に確認した環境ではPWSCF v.6.7でしたが、現在使う環境でのバージョンはインストール後に確認してください。apt版にもcp.xやneb.xなどの実行ファイルが含まれるため、これらを使えること自体はwslcだけの利点ではありません。
ソースからビルドする
QEのソースを入手し、通常のLinux環境と同じようにWSL上でビルドします。必要なバージョンやビルド内容を選べますが、コンパイラやライブラリの準備が必要です。すでにWSLに開発環境がある場合は、コンテナーを使わず直接ビルドする選択肢もあります。手順は以下の記事で紹介しています。
まとめ
手軽に始めるならビルド済みのWindows版がおすすめです。QEのバージョンとビルド環境を管理し、イメージを再利用したいならwslcが候補になります。WSL上で最短で導入するならapt、コンテナーを使わずビルド内容を調整したいならWSLでの直接ソースビルドが向いています。



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