Quantum ESPRESSOで計算をする際に必要になる擬ポテンシャルファイルについての情報をまとめます。おいおい追記予定。
擬ポテンシャルファイルのタイプ
大きな分類として3種類あります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
NC (Norm-Conserving) | もっとも基本的な擬ポテンシャル。厳密な計算ができるが計算コストも大きい。計算の種類によってはこれしか使えない。 ファイル名にmt, bhs, vbc, rrkjが入っていたらNC型。 |
PAW (Projector-Augmented Wave) | 高精度な計算ができるが計算コストを抑えることができる。cp.xの計算には使えない。 ファイル名にkjpaw, bpawが入っていたらPAW型。 |
US (Ultrasoft) | カットオフエネルギーを低くでき、計算コストを抑えることができる。精度は劣る。大規模計算や第一原理MDならUS型が良い。 ファイル名にvan, rrkjusが入っていたらUS型。 |
また、交換相関汎関数にも種類があります。よく分からなければPBEを使いましょう。
タイプ | 特徴 |
---|---|
LDA (Local Density Approximation) | 古い近似方法。金属に使用可能。 |
GGA (Generalized Gradient Approximation) PBE (Perdew-Burke-Ernzerhof) | PBEはGGAの一種。 PBEは多くの系で計算精度が高い。 |
PBEsol | PBEの改良版。 |
使用している擬ポテンシャルファイルがどのタイプなのかはファイル名から推測できますが、ファイル名の命名方法は配布元ごとに異なる場合があるので参考までに。
カットオフ
Quantum ESPRESSO公式ページにある C.pbe-n-kjpaw_psl.1.0.0.UPF を見てみます。
<UPF version="2.0.1">
<PP_INFO>
Generated using "atomic" code by A. Dal Corso v.6.3
Author: ADC
Generation date: 6Sep2018
Pseudopotential type: PAW
Element: C
Functional: SLA PW PBX PBC
Suggested minimum cutoff for wavefunctions: 40. Ry
Suggested minimum cutoff for charge density: 326. Ry
The Pseudo was generated with a Scalar-Relativistic Calculation
Local Potential by smoothing AE potential with Bessel fncs, cutoff radius: 0.9000
Pseudopotential contains additional information for GIPAW reconstruction.
Valence configuration:
nl pn l occ Rcut Rcut US E pseu
2S 1 0 2.00 1.000 1.200 -1.010678
2P 2 1 2.00 0.900 1.400 -0.388489
Generation configuration:
2S 1 0 2.00 1.000 1.200 -1.010669
2S 1 0 0.00 1.000 1.200 3.000000
2P 2 1 2.00 0.900 1.400 -0.388487
2P 2 1 0.00 0.900 1.400 0.050000
Pseudization used: troullier-martins
UPFファイルはテキストファイルで、ファイルの冒頭に推奨のカットオフ値(赤字部分)が記載されています。計算入力ファイルに記載するカットオフ値で、1つ目はecutwfc、2つ目がecutrhoです。複数の擬ポテンシャルファイルを使用する場合は最も大きい値を設定するのがいいです。
擬ポテンシャルファイル配布サイト
擬ポテンシャルファイルを配布しているサイトです。
ページ名 | URL |
---|---|
Quantum ESPRESSO公式 | https://pseudopotentials.quantum-espresso.org/legacy_tables |
PSlibrary (PAW型のみ) | https://dalcorso.github.io/pslibrary/ |
Pseudo Dojo | https://www.pseudo-dojo.org/ |
GBRV high-throughput pseudopotentials (US型のみ) | https://www.physics.rutgers.edu/gbrv/ |
コメント