今回は、2026年8月1日から8月29日までに公開されたMI関連トピックを取り上げます。自律実験による薄膜・合金・触媒材料開発、生成モデルによる結晶設計、固相合成経路の予測に加え、DeePMD-kit、OpenMM、pymatgen-coreの更新が公開されました。
前回のニュースはこちらです。

8月の主なニュース
NTTが人の理解できる成膜ルールを抽出する自律実験を実証
NTTは、自動スパッタ成膜、自動光学評価、ベイズ最適化を接続し、成膜・評価サイクルを従来の約3倍に高速化しました。β-Ga₂O₃薄膜の56回の自律探索から高品質な成膜条件を見つけ、最適化データから人が別の実験でも利用できる成膜ルールを抽出しています。
ソースURL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000181531.html
Texas A&Mが金属材料向け自律ラボ ARM-MIP を構築
Texas A&M Universityは、米国立科学財団から6年間で2,490万ドルの支援を受け、合金の溶解、成形、熱処理、試験とAIによる条件選択をつなぐ共用施設 ARM-MIP を構築します。初年度は月50合金、6年目には月200合金超の処理を計画し、失敗した実験を含むデータ、ソフトウェア、手法も公開する予定です。
MITが価電子制約付き結晶生成モデル CrysVCD を発表
MITは、結晶生成の前段で価電子則を満たす組成式を生成し、拡散モデルによる構造生成を制約する CrysVCD を発表しました。格子動力学的安定性を満たす生成物の割合は約70%に達し、生成後に不安定な候補を選別する計算負荷を減らしています。
ソースURL: https://news.mit.edu/2026/ai-helps-design-new-materials-that-work-in-real-world-0826
DeePMD-kit 3.2.0がDPA4とDPA4Cを追加
DeePMD-kit 3.2.0 では、SO(3)等変メッセージパッシングモデル DPA4 と、大規模分子動力学向けの局所・圧縮可能モデル DPA4C が追加されました。PyTorch Exportable、JAX、TensorFlow 2、CUDA推論、LAMMPS展開、fine-tuning、multi-task学習も拡張されています。
ソースURL: https://github.com/deepmodeling/deepmd-kit/releases/tag/v3.2.0
企業・研究機関の動向
HORIBAが燃料電池触媒向け自動・自律実験システムを開発
HORIBAは、試料搬送、粒子径分布測定、自動焼成、データ管理を接続した実験システムを山梨大学へ納入しました。今後はAIによる次の実験条件の探索や他社製装置を含む統合制御へ拡張し、燃料電池触媒以外の先端材料にも展開する計画です。
ソースURL: https://www.horiba.com/jpn/company/news/detail/news/8/2026/20260827-system/
データケミカルがMIの組織定着を支援するパッケージを提供
データケミカルは、Datachemical LAB 向けに、テーマ選定、実験データの記録、進捗評価、社内報告を標準化する「データ活用推進パッケージ」の提供を開始しました。工程ごとのデータをIDで結び、解析に利用できる形式で蓄積する運用も支援します。
ソースURL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000099918.html
Scripps Researchらがオープンアクセス自律化学ラボを構築
Scripps Research、UCLA、Suntheticsは、米国立科学財団から4年間で1,950万ドルの支援を受け、ロボット実験、リアルタイム分析、AIによる次の実験提案を閉ループ化する共用ラボを構築します。全米20拠点で構成されるProgrammable Cloud Laboratoryの化学拠点として、反応探索と最適化を扱います。
研究・論文
固相反応の速度論を組み込んだ合成経路予測モデル
Berkeley Labは、熱力学に加えて原子移動の速度論を機械学習でモデル化し、固相反応の中間生成物、最終生成物、不純物を時間経過に沿って予測する手法を発表しました。Ba-Ti酸化物系では過去の実験結果と強く一致し、原料比と昇温条件から数分で反応経路を計算しています。
AIでNASA合金GRCop-42の低出力3Dプリント条件を探索
Washington State Universityは、1億通りを超える候補空間から、成功確率と不確実性を使って次の造形条件を選ぶ手法を開発しました。40回以内の実験で6つの成功条件を見つけ、従来は難しかった500 WでのGRCop-42造形に成功しています。
材料特化MLIPに必要なAIMDデータ量を比較
MACE-MP-0、SevenNet-0、GRACE-1L-OAM、MatterSim-v1-5M、ORB-v2を7種類の材料系で比較し、材料特化型ポテンシャルの構築に必要な第一原理データ量を調べた研究が公開されました。10構造によるfine-tuningは不足し、200構造では結果が材料系に依存する一方、2,000構造は安定した出発点になると報告しています。
ソースURL: https://arxiv.org/abs/2608.14899
ツール・基盤ソフト更新
OpenMM 8.6.0
OpenMM 8.6.0 では、複数の温度、圧力、Hamiltonianを扱う ReplicaExchangeSampler と ExpandedEnsembleSampler が追加されました。PythonForce を一部の原子だけに適用できるようになり、ML/MM計算の高速化にも利用できます。
ソースURL: https://github.com/openmm/openmm/releases/tag/8.6.0
pymatgen-core v2026.8.13
pymatgen-core v2026.8.13 では、VASPのMLFFを用いたMD計算で生成される vasprun.xml の読み込みが修正されました。CHGCAR、LOCPOT、ELFCARの読み込み高速化、結晶方位変換、表面終端処理なども更新されています。
ソースURL: https://github.com/materialsproject/pymatgen-core/releases/tag/v2026.8.13
2026年の国内学会情報
MI、計算化学、材料科学に関連する国内学会・討論会は、次の記事に集約しています。開催日、開催地、発表申込、参加登録などの最新情報はこちらをご確認ください。

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